2008.09.24
歯科治療全般
口臭の原因 「膿栓」
膿栓(のうせん)とは、咳をした時などに喉の奥から飛び出してくることのある小さな球状の塊の名称。指で潰すと強烈な悪臭を放つことから、俗に臭玉(くさだま)などとも呼ばれる。
喉の奥にある口蓋扁桃(扁桃腺)をはじめとした咽喉内の扁桃は、進入してくる細菌やウイルスなどを殺し、体内への侵入を防ぐ働きがあるが、各扁桃の表面にある腺窩(せんか)と呼ばれる小さな穴に、細菌の死骸や壞死した細胞片、食物のかすなどが溜まることにより形成される。大きなものでは直径3~5mm程度、色は薄黄色、黄緑色または乳白色をしており、食物のかすや細菌の塊であるため、強い臭気を持つ。喉の構造や扁桃腺の形状などにより、膿栓が体外に出やすい人とそうでない人の個人差はあるが、膿栓自体は誰でも持っているものである。
また、特に冬は空気が乾燥し、細菌の付着した塵やホコリが舞い上がりやすくなるため、膿栓の量が多くなる、または大きめの膿栓が形成される傾向にある。
歯周病などの心当たりもないのに口臭が気になる場合、膿栓をチェックしてみた方がよい。これまで口臭の原因として、虫歯や歯周病、唾液の減少などが挙げられることが多かったが、膿栓も口臭の原因の一つとして着目すべきである。膿栓そのものが人体に悪影響を及ぼすことはないが、口臭を発生させる原因であるため、発生を抑えるに越したことはない。予防方法として、茶(緑茶や紅茶など)でうがいをする(口腔内の汚れを除去すると同時に、茶のカテキンが細菌の増殖を抑制する)、歯をしっかり磨いて食べカスなどを除去するという方法が効果的である。激しい咳やくしゃみなどで、ポロッと出て来ることがたまにある。また、膿栓を取り除く際には、扁桃腺や粘膜を誤って傷つけてしまう恐れがあるため、決して自分自身で無理に除去しようとはせず、耳鼻咽喉科などで除去してもらう。口蓋扁桃にある膿栓が、口を開けて鏡で確認できる程度に成長している場合、シャワーの水圧を少し強めにして当ててみると簡単に取れたという報告がある。この場合、水圧程度では粘膜に傷をつける危険性が少なく、風呂場等で手軽に行えることから、非常に有効な対策であるとして期待されている。