2009.06.27
歯科治療全般
超音波スケーラーについて
SRPの主たる目的は、歯面に付着しているプラークを機械的に除去することであり、それには適合が重要であります。要するに当たるか当たらないか、この差が結果に大きく反映するのです。
歯面や歯肉の損傷を少なく、医療者にも楽に使えるアイテムのひとつに超音波スケーラーがあります。微振動で付着物を剥がしていくこのシステムは、術者に力やストロークを要求せず当てるだけで取れるというように、使用方法は簡単なように思われます。しかし、実は、チップの当て方で歯石を取るスピードや、超音波スケーラー特有の知覚過敏の与え方が変わってきます。また、チップの形態の適合をとることで、深いポッケトへの挿入の可否が関わってきますので、チップの扱いにもテクニックが必要とされます。
機械といえども、そのメカニズムを理解し、特徴を知り、目的を持って使用するのとただ歯石だけをターゲットにしている使用とでは効率と成果の差が生じますのでご注意を。
超音波スケーラーは超音波を発振する機械と、それに取り付けるチップは常にパートナーとして開発が進められています。チップのカーブが、見事にチップ先端の振幅効率と歯面への適合性を高め、重度の歯周病患者や、難易度の高い歯根形態へのアクセスを可能とします。これらのチップの登場で妥協的メインテナンスの長期経過観察が可能になったと思います。
超音波スケーラーとハンドスケーラーは、正反対の特性をもっています。力加減、動かし方も全く違いますが、操作性でいうと、ハンドキュレットは、エッジを起こすほど力がかかりやすく、歯石をはじきやすいのに対し、超音波スケーラー、逆に倒すほどその振幅は歯石に伝わりやすく、歯面に優しくなるのが特徴です。この特徴により、歯面にまとわりつくようにエッジを合わせることで挿入時の歯肉の抵抗を小さくすることができ、無麻酔でも容易にポケット底や根分岐部まで到達することができるという臨床上の大きなメッリトが生まれます。プロービングよりも詳細にポケット内の状況を把握しながら、デブライドメントが出来るのです。
ただ、不良肉芽のように柔らかいものの除去や根面の滑沢化は、超音波スケーラーはハンドキュレットには及びません。ですから、臨床ではそれぞれの持つ利点を組み合わせることによって、限られた時間内で最も効率と質の高いデブライドメントが出来ると思います。